【私のデザインが、アメリカの展示会へ】デザイナー なかむらまさよさん

人材の声

日本の食に関わる仕事がしたい。その想いから始まったプロジェクト

愛知県碧南市で100年近い歴史を持つ老舗蔵元・日東醸造。

国産小麦を使い、色を濃くせずにうま味を引き出す独自の小麦醸造調味料「しろたまり」を、アメリカ市場へ届けるプロジェクトが「おいしい日本、届け隊」で始動しました。

プロジェクトに参加したのは、グラフィックデザイナーのなかむらまさよさん。

海外向けのスプレーボトルのパッケージデザインだけでなく、ネーミングの提案にも携わり、誕生した「UMAMIST」は、2026年1月にアメリカの展示会へ。

なぜ日本の食品輸出プロジェクトに参加したのか。デザイナーとしてどのように商品の魅力を形にしていったのか。

なかむらさんに、プロジェクト参加の背景と、実際に関わったからこそ感じた「食×海外」の仕事の魅力について伺いました。

【プロフィール】

デザイナー なかむらまさよ さん

グラフィックデザイン会社での勤務経験を経て、デザイナーとして活動。

食品や農業に関わるデザインをはじめ、ロゴ、パッケージ、パンフレットなど幅広いクリエイティブを手掛ける。

海外向け商品のデザイン経験も持ち、デザインだけでなくネーミングやコピーライティング、ブランドに関する提案まで、領域を限定せず幅広く活動している。

醤油工房を訪れた経験が、「食」に関わるきっかけに

Q.「おいしい日本、届け隊」を知ったきっかけを教えてください。

なかむらさん(以下、なかむら):

Instagramの投稿で知りました。もともと食や農家さんに関わる仕事を幅広く請け負っていて、食の分野には関心がありました。以前、友人と杉樽仕込みの醤油工房を訪れたことがあるんです。実際に現場を見て、つくり手の話を聞いたことで、醤油や発酵食品、食のものづくりにより興味を持つようになりました。

そんなタイミングで「おいしい日本、届け隊」を知り、登録しました。

Q.日東醸造のプロジェクトに応募した理由は何だったのでしょうか?

なかむら:

食の仕事に関心があったことに加えて、「海外向け」という点にも惹かれました。自分がつくったものが海外に持ち込まれ、現地の人の目に触れる。そこにすごくワクワクしました。これまで海外向けの商品やパンフレットをデザインした経験もありましたし、英語を使える場面があることも楽しみでした。

「デザイン以外も求められたら?」参加前に感じていた不安

Q.プロジェクトに参加する前、不安はありましたか?

なかむら:

少しありました。

プロジェクトの募集内容を見ると、デザインだけではなく海外展開全体に関わる印象もあったので、「自分の専門分野以外のことを求められたら、どこまで力になれるだろう」と思っていました。ただ、実際に参加してみると、それぞれの専門領域を持つ方が役割を担っていて、私はデザインの部分で力を発揮すればいい。

その点は安心しました。一方で、自分の専門性を軸にしながら、必要に応じてネーミングやブランドの見せ方まで提案できたので、想像していた以上に幅広く関わることができました。

15パターンのデザイン案と、新しい名前「UMAMIST」

Q.実際には、どのような業務を担当しましたか?

なかむら:

主にロゴとパッケージのデザインです。最初はいくつかの方向性を考え、それぞれ異なるパターンでデザインを提案しました。最終的には15パターンほどのデザイン案を出し、日東醸造の皆さんとやり取りをしながら方向性を絞っていきました。

また、今回はネーミングも担当しました。

Q.「UMAMIST」という名前も、なかむらさんの提案だったのですね。

なかむら:

はい。

5〜6個ほどネーミング案を提案した中の一つでした。海外向けの商品なので、短く、覚えやすく、現地でも意味や商品の特徴をイメージしやすい言葉を意識しました。

普段の仕事でも、デザインだけではなく言葉やコピーライティングを任せていただくことがあります。今回も、これまでの経験を活かしながら提案することができました。

わずか数か月で、自分のデザインがアメリカの展示会へ

Q.プロジェクトのスピード感はいかがでしたか?

なかむら:

すごく早かったです。8月末から9月頃にプロジェクトへの参加が決まり、12月にはデザインが完成しました。

そして、そのパッケージが翌年1月にはアメリカの展示会に出展される。自分がつくったものが、数か月後には海外の展示会に並んでいるという経験は、とても印象的でした。

一般的なデザインの仕事では、制作したものが実際に世の中に出るまで時間がかかることもあります。

今回は、提案したものがすぐに形になり、そのまま海外市場で試される。プロジェクトの成果が目に見える形で次のアクションにつながっていくことに、面白さを感じました。

海外向けだからといって、すべてを「海外風」にする必要はない

Q.海外向けのデザインで意識していることはありますか?

なかむら:

国によって、必要な表記や好まれるデザインは異なります。アメリカとヨーロッパでも違いますし、案件ごとに英語で検索して、現地の商品やデザインを調べながら必要な知識を補っています。

一方で、海外向けだからといって、すべてをアルファベットにしたり、海外風のデザインに寄せたりする必要はないと思っています。日本らしい美しさや「間」の取り方は、海外でも評価されています。

大切なのは、日本らしさをなくすことではなく、その商品の魅力が現地でどう受け取られるのかを考えること。今回も、しろたまりや日東醸造が持つ背景を大切にしながら、海外の方にも手に取ってもらえるデザインを考えました。

現場を見て、つくり手の話を聞く。そこからデザインが始まる

Q.食品や農業分野のデザインに関わる上で、大切にしていることはありますか?

なかむら:

できる限り、現場を訪れることです。

実際につくられている場所を見て、つくり手の方から直接話を聞く。デザイナーとして一番力になれるのは、そこからだと思っています。

商品だけを見てデザインするのと、どんな人が、どんな場所で、どんな想いを持ってつくっているのかを知った上でデザインするのでは、アウトプットも変わります。特に地方では、生産者とデザイナーが自然に出会う機会はまだ多くないと思います。

私自身も、もともとのお客様から紹介していただいたり、偶然のご縁から仕事につながったりすることがあります。だからこそ、「おいしい日本、届け隊」のように、生産者や事業者と専門人材が出会える場所には価値があると感じています。

事業者との距離が近いから、提案が次の仕事につながっていく

Q.「おいしい日本、届け隊」のプロジェクトに参加して感じた魅力を教えてください。

なかむら:

事業者の方との距離が近いことですね。

家族経営や中小規模の事業者さんの場合、直接コミュニケーションを取りながら進められるので、「こうした方がいいのではないか」という提案もしやすいです。一つのデザインをつくって終わりではなく、話をしている中で「ネーミングも考えましょう」「ブランドの見せ方も整理しましょう」と、仕事が自然に広がっていくこともあります。

今回も、ロゴやパッケージデザインだけではなく、ネーミングまで関わることができました。自分自身、「ここまでできる」「こういうことでも力になれる」という仕事の幅が広がったと感じています。

自分のスキルが、日本の食を世界へ届ける力になる

Q.最後に、「おいしい日本、届け隊」への参加を考えている人材へメッセージをお願いします。

なかむら:

会社員としてデザインの仕事をしている方でも、今は副業に挑戦しやすくなっていると思います。

「食に関わる仕事がしたい」「地方の事業者や生産者と仕事をしてみたい」「海外向けの仕事に挑戦したい」という方には、面白い機会があると思います。

最初から食品輸出のすべてを知っている必要はありません。自分の専門分野で参加して、プロジェクトの中で調べたり、事業者の方から話を聞いたりしながら、自分のできることを広げていく。

私自身も、今回のプロジェクトを通じて、デザインだけではない新しい経験を得ることができました。自分が持っているスキルが、日本の食を海外へ届ける力になる。興味がある方には、ぜひ一度プロジェクトに参加してみてほしいです。

デザインが、日本の伝統と海外の食卓をつなぐ

杉樽仕込みの醤油工房を訪れた経験から、食のものづくりに興味を持ったなかむらさん。

その関心は「おいしい日本、届け隊」での日東醸造との出会いにつながり、15パターンのデザイン提案、そして「UMAMIST」の誕生へとつながっていきました。

完成したパッケージは、わずか数か月後にアメリカの展示会へ。

食品輸出の経験がなくても、自分が培ってきた専門性を活かすことで、日本のつくり手の挑戦に関わることができます。

デザイン、マーケティング、営業、海外市場の知識。あなたのスキルも、日本の食を世界へ届ける力になるかもしれません。

「おいしい日本、届け隊」では、日本の食の海外展開に関わりたい人材を募集しています。

ぜひ、あなたのスキルを活かせるプロジェクトを探してみてください。