アメリカ市場向け日本食パッケージを学生が提案|GKデザイン × 森永製菓 × 湘南工科大学の共創授業に密着

アメリカ市場を見据えたパッケージデザインプロジェクト 中間発表レポートの様子をお届け

プロジェクトの背景

日本国内では少子高齢化による市場縮小が進む一方、日本食への関心は世界中で高まり続けています。

しかし、海外で商品を販売するためには、「良い商品」をつくるだけでは十分ではありません。現地の文化やライフスタイルを理解し、その市場に合わせた商品設計やデザインが求められます。

そこで今回、「おいしい日本、届け隊」は、湘南工科大学 総合デザイン学科 鈴木浩教授が講義を行う「総合デザインプロジェクト3A」、GKデザイン、森永製菓株式会社による産学連携プロジェクトに密着しました。

本プロジェクトでは、学生たちがアメリカ市場を対象に、市場調査・ペルソナ設計・商品企画・パッケージデザインまでを一貫して考え、実践的なマーケティングやデザインを学びます。

さらに、GKデザインによる海外市場を見据えたデザイン講義やFDA表示ルールの解説、森永製菓株式会社によるマーケティング講義・実務視点でのフィードバックなど、第一線で活躍する企業の知見を取り入れながら、実現性の高い提案づくりに挑戦しています。

「おいしい日本、届け隊」では、本プロジェクトを通じて、次世代のクリエイターたちが日本食の海外展開に挑む様子をシリーズでお届けします。

プロジェクトスケジュール

本プロジェクトは約4か月にわたり実施されます。

日程内容
4月17日オリエンテーション・市場調査開始
5月22日グループごとの進捗確認
6月12日中間発表(グループ発表)★今回取材
7月10日個人制作の進捗確認
8月4日最終発表(個人発表・プロトタイプ発表)★取材予定

今回、「おいしい日本、届け隊」は6月12日に開催された中間発表に参加しました。

中間発表では、各グループがアメリカ市場の調査結果やターゲットとなるペルソナ、商品コンセプトについて発表。この発表で得たフィードバックをもとに、今後は学生一人ひとりが個人制作へと進み、8月の最終発表ではパッケージデザインや試作品(プロトタイプ)を制作・発表します。


アメリカ市場を理解するところからスタート

今回の課題テーマは、「アメリカ市場に向けた食品パッケージデザイン」

学生たちは、実際の食品会社から依頼を受けたことを想定し、

  • アメリカ市場の調査
  • 競合商品の分析
  • ターゲットとなるペルソナ設定
  • 商品コンセプトの設計

を行いました。

健康志向の高まりやオーガニック食品市場の拡大、日本食人気、ホームパーティー文化など、現地のライフスタイルを分析し、「誰に届ける商品なのか」を具体的に設定した上でデザインを考えていきます。

ペルソナには、スタンフォード大学に通う学生やホームパーティーを楽しむ女性、アウトドア好きのファミリーなど、実在しそうな人物像が設定され、デザインだけではなく「使われる場面」まで想定した企画が発表されました。


ドレッシング班

“健康”だけではなく、高品質をどう伝えるか

キューピー「テイスティドレッシング 和風香味たまねぎ」

ドレッシングをテーマにしたグループでは、まず現行商品について、アメリカ展開を想定した場合の課題分析からスタートしました。

学生からは、

  • 成分や素材の魅力が視覚的に伝わりにくい
  • アメリカの食卓シーンとの接点が見えづらい

といった課題が挙げられました。

改善案として、

  • ワインボトルを参考にした高級感のある容器
  • 日本の伝統工芸や和柄を活かしたデザイン
  • ホームパーティーで映えるパッケージ
  • ドレッシングを混ぜる体験そのものを楽しめる仕掛け

など、多様なアイデアが提案されました。

単に見た目を変えるだけではなく、「商品の価値をどう伝えるか」というブランド視点まで踏み込んだ発表となりました。


抹茶そば班

「日本らしさ」を体験として届ける

霧しな「そば湯まで美味しい蕎麦 抹茶」

抹茶そばをテーマにしたグループでは、日本文化をどのように海外へ伝えるかについて議論しました。

発表では、

  • 竹筒をモチーフにした容器
  • 巻物や刀をイメージしたデザイン
  • 折り紙を取り入れたパッケージ

など、日本文化を感じられるアイデアが数多く登場しました。

一方で、「日本らしさを詰め込みすぎると、製造コストや輸送効率、実用性に課題が生じるのではないか」という視点も挙がり、デザイン性と実現性のバランスについても議論が行われました。


アイスクリーム班

アメリカ市場ならではの楽しみ方を提案

森永製菓「板チョコアイス」

板チョコアイスをテーマにしたグループでは、アメリカのホームパーティー文化に着目した提案が発表されました。

学生からは、

  • シェアしやすい大容量パック
  • トッピングを楽しめる商品
  • キャラクターを活用したデザイン
  • バケツ型や重箱型など遊び心のある容器

など、「食べる」だけでなく「体験を楽しむ」ことを意識したアイデアが提案されました。

講評では、

「その商品は誰に向けたものなのか」
「その人は何を価値として購入するのか」

という視点をさらに深掘りすることの重要性が共有されました。


デザインだけではなく「実現性」まで考える

今回の中間発表で印象的だったのは、デザインだけで終わらない議論が行われていたことです。

学生たちは、

  • 輸送コスト
  • 製造コスト
  • 保存性
  • FDAなど現地規制への対応
  • 店頭でどのように目立つか(シェルフインパクト)

まで含めて検討を進めていました。

実際の輸出では、優れたデザインだけでは商品化できません。

市場調査から企画、デザイン、実現性までを一貫して考えることは、実際の輸出ビジネスに求められる視点そのものです。


最終発表に向けて

今回の中間発表では、多くの魅力的なアイデアが発表された一方で、

  • ペルソナと提案内容の整合性
  • デザインコンセプトの整理
  • プロトタイプの制作
  • コストや輸送面の検証

など、さらにブラッシュアップすべきポイントも明確になりました。

今後は学生一人ひとりが個人制作へと取り組み、8月4日の最終発表では、実際のパッケージデザインや試作品を用いて提案を行います。

「おいしい日本、届け隊」も最終発表に参加し、学生たちが約4か月間かけて磨き上げた成果を取材する予定です。


学生の発想が、日本食輸出の新たな可能性を広げる

海外市場では、「良い商品」であることに加え、その価値を現地の消費者に分かりやすく伝える工夫が欠かせません。

今回の産学連携プロジェクトでは、学生たちが市場調査から商品企画、デザイン、実現性までを一貫して考えることで、実際の輸出ビジネスに近いプロセスを体験しました。

「おいしい日本、届け隊」は、こうした教育機関との連携を通じて、未来のクリエイターやマーケターの育成を支援するとともに、日本の食の魅力を世界へ届ける新たなアイデアや価値創出を後押ししていきます。