【木桶醤油で世界とつながる】栄醤油・深谷 允さん
企業の声
栄醤油
昔ながらの「木桶造り」にこだわる天然醸造の醤油を、世界へ。
1795年創業の栄醤油は、昔ながらの木桶造りにこだわり、国産原料の丸大豆・小麦を活かした天然醸造を続けてきました。国内市場の縮小を背景に、木桶仕込み醤油輸出促進コンソーシアムに参画し、北米・EUを主な対象に“木桶醤油”の価値を正しく伝える取り組みを進めています。

生産体制では蔵の増設を決め、2028年までに生産量を現在の2倍へ。輸出に向けた体制づくりを着実に進めています。今回は、栄醤油の深谷さんに、これまでの歩みと今後の展望を伺います。
【プロフィール】
深谷 允(ふかや まこと)
- 栄醤油八代目。1795年創業の「栄醤油」で木桶造り・天然醸造の醤油づくりに携わる。
- 木桶仕込み醤油輸出促進コンソーシアムに参画。北米/EUを中心に海外展開を推進。
- 蔵の増設を決定し、2028年までに生産量2倍を目標に体制強化などに尽力。
まずはじめに、現在の取り組みと戦略の軸について教えてください。
深谷さん(以下、深谷)
国内の醤油需要が縮小するなかで、私たちは“木桶で仕込む本物の醤油”という強みを、海外の企業・レストランに正しく伝え、販路を広げることを戦略の軸に据えました。

生産面では蔵の増設を決め、2028年までに現行の約2倍の生産体制を整える計画です。
並行して、北米やEUを主対象に、現地での市場調査や商談対応を積み重ね、発信と販路づくりを両輪で進めています。
副業人材を活用された背景と、どのように進められたのか伺えますか?
深谷
2028年をめどに生産量を現在の2倍にする計画を立て、本格的に海外販路の開拓に挑む体制が整いましたので、試しに海外営業やマーケティングを行える副業人材を募集してみました。正社員を急拡大するのではなく、必要な知見を機動的に取り込む目的で、副業・業務委託のプロ人材を募集しました。
募集にあたっては、事務局の担当者の方が募集要項や、応募者との面接調整までを親身にサポートしてくれたため、弊社でははほとんど手を動かさずにスムーズに募集がスタートしました。その結果、短期間で複数の応募が集まり、事業に合った人材と出会うことができました。
驚くことに、かなり多くの方に応募いただき、販路開拓やマーケティングの課題分析、海外商談会対応、英語でのコミュニケーションが行える副業人材を採用することにしました。
一人は欧州在住で、レストランを訪問しながら市場調査やヒアリングを担当いただいております。
もう一人はウェブ/デジタルに強く、ディストリビューターの初期開拓を中心に、商談に必要な情報整理を支援してもらっています。
実務に並走するかたちで、事業計画の優先順位の整理や意思決定の“壁打ち”といったメンター的な役割も担ってもらい、次の打ち手の決定と実行が速くなりました。
今回の取組を通じて、今までになかった海外展開のアイデアを得たり、販路開拓の課題が浮き彫りになり、解決への道筋が見えたりしたことで、輸出事業計画策定にも繋がりました。
実際の取り組みを通じて、どんな示唆や学びがありましたか?
深谷
まずオランダでは、現地在住のプロ人材がレストランを一軒ずつ訪ねて市場性を確かめました。
仮説検証を重ねたものの、初期フェーズでは成約に至らず、訴求内容や販路設計の見直しポイントが明確になりました。
一方、フランスではウェブ/デジタルに強いプロ人材がディストリビューター開拓を推進し、日本食品専門店向けの輸出が決定し、初期実績を獲得し、次の商談につながる足場づくりまで進めることができました。
プロ人材活用のメリットは、必要な専門性と機動力を期間・領域を区切って導入でき、検証と実行のスピードを上げられる点です。留意点(デメリット)は、期待値や役割、KPIの初期合意が弱いと成果に結びつきにくいこと。最初に「何をもって前進とするか」を握り、定例のコミュニケーションで認識を揃えることが重要かと思います。
今後の展望についてお聞かせください。
深谷
増産に向けた設備投資と、輸出に必要な食品認証の取得を進めながら、欧州を中心にディストリビューターとの関係を深めていきます。現地での発信も強化し、木桶醤油の“背景”まで含めて価値を伝えていきたいです。外部人材との協働で得た知見を社内に蓄積し、次のステージに向けた体制を整えていこうと考えています!
マッチング機関:プロフェッショナル人材拠点